信仰の心理【ヤコブ1:2-4】

2022年

私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思いなさい。

信仰が試されると忍耐が生じるということを、あなたがたは知っているからです。

その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります。

ヤコブ1:2-4

 

ヤコブ書の著者、「ヤコブ」は、イエスキリストの復活の後に信仰を持ったようです。(使徒1:14 I コリント15:7 ガラテヤ1:19)。ヤコブはエルサレムの教会のかしらとなり、教会の柱として紹介されています(ガラテヤ2:9)。

迫害に遭い、離散したユダヤ人のキリスト者に宛てに励ましの手紙を書いたのです。

ヤコブが書いた手紙の最初に取り上げた事柄は、「試練」「忍耐」でした。

 

私たちは、「試練」が与えられると、主への「信頼」が揺り動かされ、主への「待ち望み(忍耐)」が生じます。

ヤコブは、この「信仰の真理」を、苦しみの中にある信仰の友たちに思い起こさせ、

「試練」を避けて通るのではなく、「試練の中」に立つことを勧めているのです。

「主を待ち望む」とは「忍耐」です。試練の中で忍耐を持って主を待ち望むのです。

そうすれば「何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります。」と書いてあります。

 

基本的に誰もが、高みを目指して生きます。 常に向上心を持ち、自分のスキルを高め、社会人であれば出世しようとしますし、学生であれば、良い成績や、レベルの高い学校をめざして勉学に励むのです。 また、それと同時に、誰もが良い人間関係を望んでいます。

ですから「自己啓発」の書物が沢山存在し、セミナーなども沢山あります。今より、高みを目指すために、より良い豊かな人生にする為に、ヒントを得ようと、自己啓発に目を向けるのです。

「自己啓発」とは、自らの意思によって自分の能力を高め、心の成長を目指すことをいいます。自分自身のスキルアップになるため、仕事で結果を出すこと、プライベートを充実させることにもつなげることを目的としています。

これらの方法は、自己のモチベーションを上げ、自信を持たす方法です。自分で自分を満たそうとする「自己充足」なのです。

 

クリスチャンであってもなかっても、誰もがより良い生活、平和で安定し幸せな人生を望みます。

しかし、ヤコブは、「試練は喜ぶべきもの」と書いてあります。

自己啓発では、「試練は乗り越えるもの」ではないでしょうか?

 

「ピンチはチャンス」と言う言葉があります。ピンチ(試練)の時のとらえようを、何とかチャンスとして自分を飛躍することが出来るようにしよう。という意味ではないでしょうか?

もちろん、この思考も良いものだと思います。

 

自己啓発で「試練は喜ぶべきもの」という発想はないように思います。

「ピンチはチャンス」は自己の力や努力で、発想の転換をし、結果を方向転換させるのです。

聖書では、ピンチは避けて通るのではなく、うまく切り抜けるものでもなく、自分で報告転換するものではなく、「ピンチの中」にただ立つことを勧めているのです。

ただ「ピンチの中」からもがいて脱出しようとするのではなく、主を待つのです。

主を待つという「忍耐」が、あなたがたは、何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となると書いてあります。

どうして「試練」の中で、主を待つのでしょうか? 主の導きを聞くためです。

切に主に祈り、主の御声を聞く訓練を受ける為です。主の臨在と導き、助けを体験する為です。主が今も生きておられ、私を導き、私の想像を超えた導きを体験する為です。

 

聖書の教えと、世の中の常識に大きな差があります。これはよくある事です。

ですから「今まで経験した常識」や「世の中の常識」に疑問を持たずに流されて生きないようにしないといけないのです。

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